組織開発コンサルティングレポートVol.005「幹部間の意思疎通の質は、経営力の鍵となる」
-
業種
企業経営
- 種別 レポート
幹部間の意思疎通の質は、経営力の鍵となる 解説
株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役 / 江畑 直樹
社長の挨拶から始まった、とある企業の経営幹部会議での一例をご紹介します。
私たち幹部は、どれほどお互いのことに踏み込んで、話ができているのだろうか。お互い妥協してしまっていないか?
今の状態で、これからの荒波の時代を、我々幹部の覚悟で乗り越えていくことができるのだろうか? 私は難しいと思う。新年度が始まってもう半年以上経過しているが、みんなの危機意識は幹部として不足しているのではないか。
会長が完全にいなくなったらどうなる? 注意してくれる人は私以外だれもいなくなる。それでは会社全体を、社員をまとめていくことも支えていくこともできない。
私もみんなに踏み込んでいなかった。忖度していた。でもこれからはそれを変えていきたい。本気でみんなと向き合っていく。今日この場から私は変わっていこうと思う。そして、みんなにもそうなってほしい。
今日は、お互いに他の事業部をどのようにみているのかを本音で話し合う場としたい。
急遽変更された会議での幹部セッション
社長からのゲキを受けて、当初予定していた会議の内容を変更し、幹部同士がそれぞれに踏み込んでいくセッションを行うことになりました。
各幹部が統括している組織と幹部本人に対して、他の幹部がどのように見えているのか、何を課題と感じているのかをシェアしました。お互いに問いかけ合い、本人がそこから何に気づき、何を発見できたのかを述べあっていきます。
はじめはお互いが様子見して誰も発言したがらない状況でしたが、社長が気を遣われて席を外してから、少しずつ本音が出始めました。
30分も経過すると、建設的な批判が活発に起き始めてきました。幹部一人ひとりに対して、他の幹部からどのように見えているのか、ずっと言いたかったことは何か。そして気づけば4時間が経過、休みなしで本音のぶつかり合いをしていました。
中にはなかなか受け止められず、葛藤される方もいましたが、それぞれのペースで周りから見えている自分を受け止めていただいた様子です。
幹部セッションを終えた感想
セッション後、各幹部から感想をシェアいただくと、以下のようなコメントが出されました。
・目が覚める思いだ
・自分がようやく見えた
・課題から逃げていることを見透かされていた
・はじめて本音を出し合えた気がする
・お互いの距離がぐっと縮まった
・勇気が必要だったけど、このような会話をみんなで避けてきていた
・これからもなんでも言い合える関係になろう
組織の意思疎通は企業の経営力に大きな影響を与える
多くの企業で、社内忖度が起きています。
これにより、本当に話す必要のあることを話し合わず、話しやすいことや話す必要のないことだけを話し合っています。本質的な組織の課題から目を背けてしまっては、企業としての進化やイノベーションは生まれません。
戦略や戦術はとても大切なことですが、幹部同士が本音を言い合えるほどの深い関係になれているのか、自分たちの足元を確認すると見えてくるものがあるかもしれません。
経営幹部の一枚岩化や、ビジョン創りにご関心のある企業様、サポートのご要望がある企業様、私どもまでお問い合わせください。
このレポートの解説者
江畑 直樹(えばた なおき)
株式会社日本経営 副部長 株式会社ミライバ 取締役
2003年日本経営入社。主に医療機関、福祉施設の組織創りや幹部・管理職・監督職の研修に従事する。約2年間にわたる医療・福祉のグループ法人への出向を含め、これまでに100以上の医療法人、社会福祉法人の支援実績を有する。
2018年に株式会社ミライバを設立し、組織の風土改革や次世代リーダーの育成、幹部・管理職の視座の向上等をテーマとする組織開発コンサルティングや人材開発研修の支援を行う。
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。